確定拠出年金の運用知識
確定拠出年金は、個人が運用(商品の選択)を行うことになるため、運用の基本的な知識が必要になります。ここでは、運用の基礎知識としてよく取り上げられる、以下のテーマについて簡単に説明します。
主な金融資産とその特性
金融資産には、大きく分けると「預貯金」「債券」「株式」の3つがあります。
預貯金
銀行預金、郵便貯金などです。
預貯金には元本が確保されているものが多く、比較的安全です。
一方で、収益性は一般的に低く、インフレの時はお金の価値が目減りしてしまうことがあるかもしれません。また、安全とは言っても、銀行が倒産した場合に預金保険制度による保護の範囲を超える部分が返ってこないことがあります。
債券
国債(国が発行する債券)、社債(企業が発行する債券)などがあります。
債券を買う(債券に投資する)ということは、債券という証券と引き換えに、自分のお金を発行体(国や企業)に貸すことです。お金を貸すと、それに対する利息がもらえます。また、返済期日になると貸したお金(元本)を返してもらえます。
債券は、元本の返済期日まで保有することもできますし、途中で換金することもできます。ただし、換金するときの価格は、そのときその債券が市場で取引されている価格=市場価格となります。市場価格は上下に変動するため、投資した時の価格より上がることもあれば、下がることもあります。
債券は、発行体が破産した場合、もらえるはずの利息がもらえなくなったり、元本が返ってこなくなったりします。したがって、債券に投資するときには、発行体の信用度を事前に確かめる必要があります。一般的に、確認の基準として、民間の格付会社が評価・公表している格付けが利用されています。
株式
株式は、株式会社が事業活動に必要な資金を調達するために発行する証券です。
株式を買う(株式に投資する)ということは、自分のお金を会社に出資し、オーナー(株主)になることです。出資した会社がそのお金で事業を効果的に行い、利益をあげると、株主は利益の一部を配当としてもらえることがあります。
また、会社が利益を生み出すと新たにこの会社に出資したいという人が増え、株式の値段があがることがあります。このとき、すでにオーナーになっている人は株式の値上がり益を得られることがあります。
債券には投資した人が得られる収益についてあらかじめ約束ごとがありますが、株式の場合は約束ごとがありません。つまり株式は、配当がいくらもらえるか、また株式の値段が上がるかどうか、どちらも保証がないのです。
株式は、約束ごとがない分、短期的にも値段が上下に大きく変動します。株式に投資するときは、その短期的な値動きに惑わされず、会社の将来に期待して、長期に構えて投資するという姿勢が大切です。
リスクの種類
- リスクとは
- 将来どうなるかわからない、という不確実性のこと。有価証券投資の世界では、価格の振れ幅のことを指します。元本が割れることもリスクですが、正しくは有価証券の価格が大きく値上がりすることも含めてリスクといいます。「ハイリスク・ハイリターン」とは、大きな価格変動のなかで、上に大きく振れた時に高い収益が期待できる、という意味です。
リスクをゼロにすることはできませんが、低減させることは可能です。
価格変動リスク
損益が、価格の上下の変動に影響を受けることです。例えば、債券や株式は経済や市場の影響を受けて、買った時点から時々刻々と値段が動きます。そして、売るときの値段が買ったときの値段よりも高ければ益が得られますし、逆に低ければ損が出ます。よって、債券や株式は価格変動リスクがあると言えます。
金利変動リスク
損益が、金利の上下の変動に影響を受けることです。例えば、債券を買った場合、その後、市場の金利が上がれば債券価格は下がり、金利が下がれば債券価格は上がって、売るときに発生する損益に影響を与えます。つまり、債券は金利変動リスクがあるといえます。
また、預貯金には、預け入れるときの金利がそのまま満期まで変わらないものと市場の金利に合わせて一定期間ごとに見直しになるものがあります。固定金利で預け入れていると、市場の金利が上がっても、預貯金の金利は変わらず、もらえる利息は市場より低い金利で計算されてしまいます。
よって、預貯金にも金利変動リスクがあると言えます。
信用リスク
お金の貸出し先などの財政状況が悪化したり倒産することによって、貸したお金やその利息が約束通りに支払われなくなり、損失を被ることです。預金、債券、株式のいずれにも、信用リスクがあります。
インフレ・リスク
お金の価値がインフレの影響で目減りし、実質的に損失を被ることです。インフレとは、モノの値段が上がることです。モノの値段が上がるとお金の価値は自動的に目減りします。お金を運用するときは、少なくともインフレの率以上で運用しないと、その価値は下がってしまいます。
為替変動リスク
損益が、為替相場の上下の変動に影響を受けることです。例えば、海外の債券や株式を買うには、円を外国通貨に両替します。両替した後、円安になれば外国通貨の価値は上がり、円高になれば外国通貨の価値は下がって、外国通貨を円に両替するときに発生する損益に影響を与えます。
よって、海外の債券や株式への投資は、為替変動リスクを伴います。
投資信託
投資信託とは、不特定多数の投資家から投資資金を集めてひとまとめにし、これを専門家が債券・株式などの有価証券に投資して運用するものです。運用により得られた成果は「分配金」として各投資家に、その投資金額に応じて還元されます。
値動きのある有価証券に投資する以上、投資信託にも値動きがありますし、元本が目減りするリスクもあります。そしてその運用の結果は利益も損失もすべて投資家が負う、という点をよく認識しておく必要があります。また、分配金は運用状況や分配の方針によっては分配されない場合があります。

分散投資
分散投資とは、一つのものに集中投資しないで、複数のものに少しずつ分けて投資することです。分散投資には「投資対象の分散」と「時間の分散」といった方法があります。
投資対象の分散
例えば、ある一社だけの株式を買ったらどうなるでしょうか。お金の価値は損益はこの株式の動きだけに左右されることになり、株式の値段が下がればお金の価値も減ってしまいます。しかし、いろいろな会社の株式を少しずつ買ったらどうなるでしょうか。これらの株式は違う会社の株式ですから、値段の動きもそれぞれ違うでしょう。すると、いくつかの株式が値下がりしても、他の株式が値上がりし、その利益で損失をカバーすることができるかもしれません。
<例>卵をカゴに盛るときに・・・
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- 1つのカゴだけに盛った場合・・・リスク大
- もしも、カゴを落としたら卵は全て割れてしまう。
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- いくつかのカゴに盛った場合・・・リスク小
- 1つめのカゴを落としても、同時に全てのカゴを落とす可能性は小さいため、全ての卵が割れる確率は小さい!
性格の違う複数のものに少しずつ分けて投資するほうがより安定的に運用することができます!
時間の分散
同一の商品を一定の金額で定期的に継続して購入する投資手法を「ドル・コスト平均法」といいます。
この手法は商品の価格が高いときは購入する数量が自然と少なくなる反面、価格が安いときには購入量が多くなるため、購入単価が平準化されるとともに、平均購入単価を下げる効果があります。購入時期(時間)を分散させ、価格の変化に対して購入数が調整される方法です。長期の運用において非常に有効な投資手法と考えられています。
<例>ドル・コスト平均法の具体例

| 株価の動き | 1,000円 | 1,250円 | 500円 | 2,000円 | 1,000円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 買付株数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
| 買付金額 | 10,000円 | 12,500円 | 5,000円 | 20,000円 | 10,000円 |
57,500円で50株の購入:平均買い付け価格は1,150円
| 株価の動き | 1,000円 | 1,250円 | 500円 | 2,000円 | 1,000円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 買付株数 | 10 | 8 | 20 | 5 | 10 |
| 買付金額 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
50,000円で53株の購入:平均買い付け価格は943円
長期投資
◆投資期間別に見た日本の株式の収益率比較
(1950年から2003年、ある日本企業の株価年末値で計算) 
投資期間は長くなればなるほど、最大収益率と最小収益率のブレは小さくなり、収益が安定します。
日々の価格変動に一喜一憂するのではなく、長期的なスタンスで望むことが大切です。
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