日本の年金制度(国民年金)
日本の年金制度は、ここ数年の間に大きく姿を変えつつあります。平成13年6月には、確定拠出年金法、確定給付企業年金法という二つの法律が成立し、企業年金にも大きな変化の兆しがあります。特にこれまでの年金は給付をベースに制度設計されたものがほとんどでしたが、新たに拠出をベースに考える確定拠出年金制度が導入されたことは、大きな変化といえるでしょう。
まずは、個人の生活に深い関わりを持ちながら、制度が複雑であるために十分理解されていないままになっているケースが多い「年金」についてご紹介します。
1.年金制度の全体像
日本の年金制度体系は、次の図のように、一般に公的年金、企業年金等の組み合わせからなる3階建ての構造になっています。さらに、その上乗せとして個人年金に加入している場合もあります。

2.国民年金
(1)被保険者
[1]被保険者の種類
1階部分は、国民年金です。昭和61年にスタートした現在の年金制度では、国民年金を全国民共通の年金制度と位置づけています。従って、原則として20歳以上60歳未満のすべての国民に加入が義務づけられています。これは、将来老後に年金を受け取ることができない無年金者を出さないための制度です。
国民年金で加入が義務づけられている被保険者は、次のように区分されています。それぞれ保険料負担方法が異なっています。
<第1号被保険者>
・農業者・自営業者等で日本国内に住所を有する年齢が20歳以上60歳未満の者
<第2号被保険者>
・厚生年金・共済年金等の被用者年金の被保険者・加入者本人(いわゆる現役のサラリーマン・公務員等)
<第3号被保険者>
・第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
[2]種別変更の届け出
なお、職業が変わったりして、被保険者区分が変更になった場合は変更手続きが必要です。第2号被保険者になった場合には、通常会社が手続きを行いますが、OLがサラリーマンと結婚し専業主婦となったような場合には、事業主を経由して手続きを行うことが必要です。この手続きを行わない場合、保険料未納となり、将来の年金受給に影響することがあります。
(2)保険料の支払
[1]保険料
国民年金の保険料として、毎月定額の保険料を納めるのは第1号被保険者だけです。
保険料は、収入に関係なく月額13,300円(平成16年)です。平成17年4月から平成29年度まで毎年、保険料が280円ずつ引き上げられています。ただし、収入の状況等により保険料免除制度が別途あります。
[2]保険料の支払方法
第1号被保険者の場合、半年分もしくは1年分の保険料を前納することができます。前納すると保険料が割引となるため、経済的に余裕がある人は、前納が有利となります。反対に、経済的理由等により保険料負担が困難な場合などには、「保険料免除」制度があります。保険料を支払う余裕が無いという理由で、任意に保険料支払いを行わないいわゆる「保険料未納」と、制度として認められた「保険料免除」は、保険料を支払わないということについては同じように見えますが、受給資格期間や受取年金額の計算において、全く異なった取扱となりますので注意が必要です。
第2号被保険者は厚生年金の保険料に含まれています。
また第3号被保険者は個別に直接保険料を負担しませんが、その分は配偶者が加入する年金制度全体で負担しています。
(3)年金の受取
[1]受給資格期間
原則として、保険料を納付した期間と保険料の免除を受けた期間および合算対象期間の合計が25年以上である場合に、老齢基礎年金の受給資格が発生します。合算対象期間とは、カラ期間と呼ばれることもありますが、主に制度変更に伴う受給資格期間計算上の特例措置等です。また、厚生年金等に加入している場合には、別途受給資格期間の特例があります。
[2]受給開始年齢
老齢基礎年金の受給は原則として65歳からです。ただし、繰り上げ支給の申請をすれば60歳から年金を受け取ることができます。ただし、受取額は減額されます。反対に65歳から受給せずに、66歳以降の希望する年齢から年金を受け取ることができる繰り下げ支給の制度もあります。この場合年金額が増額されます。老齢基礎年金は終身受け取ることができます。
[3]受給額
平成16年度の老齢基礎年金額は保険料納付期間40年の満額支給で年額794,500円です。保険料納付期間が40年未満の場合には、その期間に応じて年金額が減額されます。
(4)付加年金
第1号被保険者の場合、付加保険料(400円)を支払い、年金受取額を増額することができます。付加保険料を納めると、所定の老齢基礎年金の他に付加年金を受け取ることができます。付加年金額は200円に付加保険料納付済月数を掛けて計算します。付加保険料を30年間(360ヶ月)納付した場合、付加年金額は200×360=72,000円となります。支払った保険料は400×360=144,000円ですから、付加年金を2年間受け取ると支払った保険料分は回収できる計算になります。